夫に宛てた手紙

夫に宛てた手紙


夫と娘が拉致されて40日が過ぎた。 今も破らずに残している手紙がある。
街はクリスマスのにぎやかなムードに満ちていた。
しかし、Tさんの心は沈み、手紙を書けば、それはいつの間にか “遺書” になってしまった。


今も破らずに残している手紙がある。


「Sさんと娘のいない生活なんて考えられません。 もう耐えられません。 これ以上生きていたらあなたの ご両親を恨まなくてはなりません。だから...... 私の 存在がなくなればSさんの責任も軽くなるし、ごめんなさい。
家の中にいればどこを見まわしてもSさんと娘の影があって苦しくて涙が止まりません。 娘が大きくなって物事がいろいろわかるように なったら、私のこと話してあげてください。 Sさん、愛しています。 でも、ごめんなさい。
体に気をつけて生きてくださいね。
あなたともっと一緒にいたかった ・・・でもそれができないのなら
・・・・・短い間でもあなたの妻でいられたこと 「幸福に思います」